科目名

物理化学(I・II)

JABEE科目

科目CODE

207


学年・学科等名

  第4学年 物質化学工学科

担当教員

  高田知哉(8036)

単位数・

  2単位 前期(I)・後期(II)

総時間数

  90時間(含:中間試験・自学自習)

教 科 書 名

  化学熱力学中心の基礎物理化学(杉原 他 著、学術図書出版社)

補 助 教 材

  プリント(講義資料、演習問題)

参 考 書

  ムーア 基礎物理化学(上)(W. J. Moore 著、東京化学同人)

  エンジニアのための化学熱力学入門(小島和夫 著、培風館) その他

 

A 教育目標

物理化学の基本となる事項について、その基礎概念を理解するとともに、具体的な問題を把握して必要な数値等を正しく求められる能力を演習により身につける。4年次の物理化学では次の項目を扱う:自由エネルギー、化学ポテンシャル、化学平衡、相平衡、溶液の性質。

 

B 概要

ここまでの物理化学で学んだ熱力学をふまえた上で、物質の状態変化の方向性と平衡状態を決める法則について理解する。特に、自由エネルギーと化学ポテンシャルの概念を正しく把握し、その物理的意味を理解する。さらに、平衡論の具体的問題について熱力学的に議論する際の考え方を知り、熱力学による化学現象の理解のセンスを身につける。

 

C 本校の教育目標及び「環境・生産システム工学」教育プログラムによる学習・教育目標との対応

本校の教育目標

教育プログラム科目区分

学習・教育目標との対応(JABEE基準: c, d, e, h)

基礎工学科目

力学系

A-2

(60%)

D-1, D-2

(40%)

 

 

 

 

D 学習上の留意点

物理化学の学習では、抽象的な論理を漠然と追うのではなく、演習問題にしっかり取り組んで計算法を身につけることで論理的な理解も深めることができる。またその反対に、計算問題を解く際にはただ与えられた数式を使って数値を計算するのではなく、その背景にある概念についても考えることで量的なイメージがつかめる。物理化学を学ぶ際には、理論的な内容と実際の問題を常に関連させて考えることが必要である。3年次の物理化学を基礎として引き続く内容であるので、理解するためには3年次の物理化学で学んだ内容を確実に修得していることが必須である。必要に応じて、これまで学んだ内容を見直すこと。

なお、授業の際は計算機をつねに持参すること。

 

E 評価方法

定期試験成績(60%) 演習課題解答(20%) ※受講態度(20%)

(受講態度:演習問題への取り組み状況、授業の際の発言等の積極性および聴講態度)

※前期末・学年末の評価で60点未満である者については、定期試験の分を再評価するための再試験を、前期末・学年末に各一回行なう。(再試験を経た場合の評価点の上限は60点とする)

 

F 授業内容 講義:前期(I)30時間・後期(II)30時間,自学自習30時間 総時間数90時間

授業項目

時間

内        容

教育

プログラム

自由エネルギー

2

GibbsエネルギーおよびHelmholtzエネルギーの定義と物理的意味を理解し、これらが閉鎖系における状態変化の方向性を決める量であることがわかる。

A-2

D-1

D-2

自由エネルギーの圧力・温度依存性

2

Gibbsエネルギーの圧力および温度による変化について理解し、温度依存性を表すGibbs-Helmholtzの式を導くことができる。

 

部分モル量:化学ポテンシャル

4

部分モル量の概念を理解し、部分モル自由エネルギーとしての化学ポテンシャルの物理的意味がわかる。各種の多成分系についての化学ポテンシャルの表現を示すことができる。

部分モル量:部分モル体積

2

部分モル体積の概念を理解し、その算出および応用計算ができる。

化学平衡の条件、気相での化学平衡

 

4

化学平衡を熱力学的に論じる際の基礎的な考え方がわかる。気相の成分の化学ポテンシャルから、反応の平衡定数を定義する際の手順がわかる。平衡定数を用いて、平衡組成の基本的な計算ができる。

(前期中間試験)

2

 

 

液相での化学平衡

4

液相の成分の化学ポテンシャルから、反応の平衡定数を定義する際の手順がわかる。理想溶液、理想希薄溶液、非理想溶液についての化学ポテンシャルの表現の違いを知り、それぞれに応じた化学平衡の計算ができる。

A-2

D-1

D-2

平衡定数と熱力学量の関係

2

平衡定数と各種の熱力学量(H、S、G)の関係を知り、与えられたデータから未知の量を相互に求めることができる。

化学平衡の温度依存性

4

自由エネルギーの温度変化を表す式(Gibbs-Helmholtzの式)、平衡定数の温度変化を表す式(van’t Hoffの式)を導くことができ、それを使った計算ができる。

化学平衡の圧力依存性

4

化学平衡の圧力依存性を論じる際の基本的な考え方を理解し、それに基づく計算を行なうことができる。また、体積依存性についても適切に扱うことができる。

(前期末試験)

相平衡の条件と相律

4

相平衡とは何かを理解した上で、それが成り立つ条件がわかる。相平衡にある系の変数に関する法則(相律)がわかる。

A-2

D-1

D-2

相平衡の圧力・温度依存性

2

相平衡状態での圧力と温度の関係を表す式(Clapeyron - Clausiusの式)を導くことができ、それを用いた計算ができる。

理想溶液の相平衡:Raoultの法則

2

理想溶液の蒸気圧に関するRaoultの法則について理解し、それに基づく計算ができる。

 

理想溶液の液相-気相状態図

4

理想溶液の液相-気相平衡を図示した際の特徴を理解し、適切な取り扱いができる。

理想溶液の液相-気相状態図の熱力学的解析

2

理想溶液の液相-気相状態図を熱力学的な解析により得る考え方がわかる。

(後期中間試験)

2

 

 

非理想溶液の液相-気相状態図

2

理想溶液と非理想溶液の状態図の違いの理由について理解し、説明できる。

A-2

D-1

D-2

固相-液相平衡

4

固相-液相状態図の特徴について理解し、熱力学的な解析によって相の境界を求めることができる。

溶液の熱力学

4

Raoultの法則およびHenryの法則の熱力学的表現がわかり、それに基づいて溶液の組成と蒸気圧の関係を説明することができる。

溶液の束一的性質

4

溶液の束一的性質(沸点上昇、凝固点降下、

浸透圧)について熱力学的に説明でき、計算することができる。

(学年末試験)

◆自学自習

・授業内容の復習、予習

・演習問題の見直し

・定期試験準備

 

30

授業内容の復習・予習、授業中に行なう演習問題や小テストの解法の見直し、定期試験の準備のための時間を合わせ、30時間を自学自習時間とする。

A-2

D-1

D-2

 

G 関連科目 物理、応用物理、物理化学(物質化学工学科3、5年次)、物理化学実験


旭川高専2007