科目名

物理化学

科目CODE

201


学年・学科等名

第3学年 物質化学工学科

担当教員

千葉 誠(8038)

単位数・

2単位・通年

総時間数

60時間(含中間試験)

教 科 書 名

化学熱力学中心の基礎物理化学(杉原剛介 他 著、学術図書出版社)

補 助 教 材

プリント(講義資料、演習問題)

参 考 書

ムーア 基礎物理化学(上)(W. J. Moore 著、東京化学同人)その他

 

A 教育目標

物理化学の基本となる事項について、その基礎概念を理解するとともに、具体的な問題を把握して必要な数値等を正しく求められる能力を演習により身につける。3年次の物理化学では次の項目を扱う:気体の性質、熱力学第1法則、熱化学、熱力学第2法則、反応速度。

 

B 概要

はじめに気体の性質について概観した上で、化学変化でのエネルギー移動を議論する上での基礎となる熱力学第1法則について学ぶ。基礎理論を学んだ後に、化学変化に伴う熱の移動(反応熱)の取り扱いを学ぶ。次に、化学変化の方向性を議論する上での基礎となる熱力学第2法則について学ぶ。特に、エントロピーの概念を確実に理解する。次に、熱力学とともに物理化学の基礎をなす反応速度論について学ぶ。

 

C 本校の教育目標との対応 3

 

D 学習上の留意点

物理化学の学習では、抽象的な論理を漠然と追うのではなく、演習問題にしっかり取り組んで計算法を身につけることで論理的な理解も深めることができる。またその反対に、計算問題を解く際にはただ与えられた数式を使って数値を計算するのではなく、その背景にある概念についても考えることで量的なイメージがつかめる。物理化学を学ぶ際には、理論的な内容と実際の問題を常に関連させて考えることが必要である。

なお、授業の際は計算機をつねに持参すること。

また、定期試験時の成績がふるわなかった学生に対する再試験は各定期試験後に1回のみ行う。これに関して、授業時の聴講態度やレポートの提出状況の悪い学生は再試験受験の対象としないので十分気をつけること。

 

E 評価方法

定期試験4回(60%)と学習態度40%)で評価する。

学習態度:授業時の聴講態度、演習問題への取り組み状況、およびその結果、レポートの提出状況、およびその内容を加味し、総合的に判断する。

 

F 授業内容

授業項目

時間

内  容 ・到達目標

物理化学の領域

1

物理化学がどのような内容を扱う学問なのかを理解し説明できる。

理想気体

1

理想気体の性質について理解し、必要な計算を行うことができる。また、圧力、体積、気体定数の単位を適切に扱うことができる。

van der Waalsの状態方程式

2

非理想気体の状態方程式であるvan der Waals方程式について理解し、計算を行うことができる。気体の分子間力の概要がわかる。

気体の液化と臨界

2

気体の液化現象と臨界現象について理解し、温度、圧力、体積の変化によって気体がどのような状態となるかを説明できる。

巨視的な系、熱と仕事

2

開放系・閉鎖系・孤立系の違い、熱と仕事の定義を説明できる。可逆過程・不可逆過程の概念がわかる。

熱力学第1法則

2

熱力学第1法則がどのような法則であるかを理解し、数学的表現を示すことができる。内部エネルギーの分子論的な見かたができる。

エンタルピーと熱容量

4

エンタルピーの定義を理解し、それが定圧下での熱量変化であることがわかる。定積熱容量と低圧熱容量の定義を理解し、それらの間の関係を導くことができる。

(前期中間試験)

2

 

理想気体の仕事と熱

4

理想気体の種々の過程における仕事と熱の計算を行うことができる。仕事の経路依存性について説明できる。断熱過程に関する計算ができる。

Hessの法則

2

化学反応に伴う熱の出入りについて理解し、Hessの法則に基づいた反応熱の計算ができる。

標準生成熱、反応熱の温度変化

2

標準生成熱の定義を知り、そのデータから反応熱を計算することができる。反応熱の温度による変動(Kirchhoffの式)について理解し、任意の温度での反応熱を計算することができる。

結合エネルギー

2

化学結合のエネルギーが反応熱と関連していることを理解し、結合エネルギーのデータから生成熱、反応熱を計算することができる。

Born-Haberサイクル

2

結晶の格子エネルギーおよびBorn-Haberサイクルについて理解し、格子エネルギーの計算を行うことができる。

熱力学第法則

2

熱力学第2法則について理解し、それが状態変化の方向性を規定する法則であることがわかる。

(前期末試験)

カルノーサイクル

2

仮想的熱機関であるカルノーサイクルの理論的取り扱いができる。エントロピーの定義について理解し、これが状態関数であることがわかる。

エントロピーの分子論的解釈

2

エントロピーがある状態の生じる確率と関連した量であることを理解し、自発的変化の方向性との関連を説明できる。

理想気体の状態変化におけるエントロピー変化

4

種々の条件下での理想気体の状態変化に伴うエントロピー変化を計算することができる。

理想気体の混合および相変化のエントロピー変化

2

理想気体の自発的混合および物質の相変化に伴うエントロピー変化を計算することができる。

熱力学第3法則と第3法則エントロピー

2

熱力学第3法則について理解し、第3法則エントロピーを計算することができる。

化学反応のエントロピー変化

2

第3法則エントロピーを用いて化学反応のエントロピー変化を計算することができる。化学反応のエントロピーの温度による変化を計算することができる。

(後期中間試験)

2

 

反応速度について

1

反応速度の定義、反応速度定数、反応次数について理解し、数学的に表現することができる。

一次反応

1

一次反応の反応速度式を数学的に表現することができ、積分形の速度式および半減期を求めることができる。

二次反応

2

二次反応の反応速度式を数学的に表現することができ、積分形の速度式および半減期を求めることができる。

可逆反応

2

可逆反応の反応速度式を数学的に表現することができ、積分形の速度式を求めることができる。また、速度定数と平衡定数の関係がわかる。

逐次反応

2

逐次反応の反応速度式を数学的に表現することができ、積分形の速度式を求めることができる。また、反応の律速段階について説明できる。

定常状態近似

4

連鎖反応の反応速度式を、定常状態近似を適用して導くことができる。複雑な反応機構によって起こる反応の速度式の導き方がわかる。酵素反応の速度式を導くことができる。

反応速度の温度依存性

2

反応の活性化エネルギーについて理解し、説明できる。またArrheniusプロットにより活性化エネルギーを求めることができる。

(学年末試験)

 

G 関連科目 物理、応用物理、物理化学物質化学工学科年次、物理化学実験


旭川高専2007